関わること、生活環境を作ること
そこから見えた認知症ケア
〜その人がその人らしく過ごせるために〜
要介護認定者約314万人の内、約半分の149万人の人に認知症の症状が見られており、介護保険施設入所者においては、約8割に認知症の症状があるといわれている。身体ケアのみでなく、置き去りとなった認知症ケアへの取り組みが私達の役割である。そして、環境面においても従来型の特別養護老人ホームであり、長い廊下や広い食堂の大きな空間が認識力の落ちた認知症高齢者にとっては脅威となり、緊張させ、落ち着きのない行動や居室への引きこもりの原因となった。また、施設入所による環境の変化から与えるストレスが不安を招き、徘徊や帰宅願望などの周辺症状として現れていた。そこで認知症高齢者への正しい理解を持ち、生活環境を作ることから認知症ケアへの取り組みを行う。
解決すべき課題として
・認知症高齢者への理解
・職員の意識改革 ⇒ 御利用者ひとりひとりを尊重し、「その人らしい生活」へ
・生活環境作り
1、認知症高齢者に対する職員の意識改革
施設内研修への取り組みや職員の日常の様子をビデオに撮影したことで、利用者の想いを考えるようになった。職員の意識が業務から関わることへの意識転換を図り、個人能力の向上を目的とした。
2、グループの細分化
利用者一人に対しての関わる時間を増やし、深く関わっていけるように、1グループ12〜16名の7グループ編成への細分化を行なった。
3、生活環境作り
馴染み深いものや思い出のつながるものなど生活に直結する身近な物を使い、家庭的な雰囲気作りを行う。また、利用者の意見を聞きながら、居心地のよい安心できる空間作りを行う。
@デイルーム作り Aパブリックスペース作り B五感に刺激の良い環境作り C開放的な環境作りDお部屋作り
取り組みから見えたこと
・利用者との関係が深まり、要望が聞けるようになった。
・価値観・生活暦・趣味などがわかった ⇒ 個人のできる力、わかる力の発見ができた
・自分の部屋が認識でき、居場所ができた
認知症高齢者は、脳の器質的変化により、日常生活にさまざまな障害をもたらすが、適切なケアと環境により、「その人らしい生活」ができるように感じた。認知症による理解を深めたことで、行動の裏に隠された原因があることに気づくことができ、周辺症状へのアプローチの方法が変化したと思われる。また寄り添い関わったことで、言語での表現がうまくできずに、周辺症状として現れていことを訴えのサインとして捉えることができるようになり、ケアの幅が広がった。
認知症になったら、何もわからず、何もできなくなるわけではない。利用者が何を望み、どのような生活を送りたいのか?を寄り添い関わることで常に模索し「その人を知る」ことが大切である。そして、秘めておられる「できる力」を、いかに多く引き出していくかが、私たち介護職に求められる今後の課題である。